超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)板は、耐摩耗ライナー、摺動面、切削加工部品などに用いられます。当社のポリエチレン板についてお問い合わせの際は、最高温度と最低温度に加え、荷重、動作、取付条件をお知らせください。摩擦が小さいからといって、どのUHMWPEグレードも高温の設備、隙間の小さい取付け、凍結した粉粒体に適しているとは限りません。

上限温度だけでなく、使用中の温度変化を確認
別の配合のUHMWPEやHDPEに示された使用温度を、注文する板材の仕様として扱うことはできません。まず、使用するグレードと使用条件を明確にしてください。
- 連続使用温度、短時間の高温、融点は別の指標
融点は安全に使用できる温度ではありません。連続使用温度の表示値と荷重たわみ温度試験では評価条件が異なり、どちらか一方だけでは、荷重を受ける部品が形状を保てるか判断できません。通常の使用温度、一時的な最高温度、その温度が続く時間を記録してください。 - 低温での使用と粉粒体の凍結は別の問題
低温で使用する部品は、グレードの物性資料に基づいて耐衝撃性と寸法変化を検討します。ホッパーやシュートでは、ライナー自体が使用可能な状態でも、水分を含む粉粒体が凍結・付着することがあります。水分量、滞留時間、排出条件も含めて評価してください。 - 膨張と収縮を見込んだ設計
- 選定したグレードの熱膨張データと想定される温度差から、板材や部品の長さ方向の寸法変化を検討してください。
- その寸法変化を踏まえ、継ぎ目、隙間、取付方法を確認します。動きを強く拘束されたライナーは、温度が上がると変形することがあります。
- 図面には取付時と測定時の温度を指定してください。ある温度で確認した寸法が、使用中も同じとは限りません。
- 荷重が続く時間と摩擦熱を考慮
UHMWPE製の耐摩耗部品は、応力がかかり続けると徐々に変形することがあります。面圧、摺動速度、放熱条件も挙動に影響するため、周囲の気温だけでなく、運転中の接触部の温度を検討してください。
仕様に記載する温度・使用条件
| 条件 | お知らせいただく情報 |
|---|---|
| 通常運転 | グレード、連続使用温度、その温度での使用時間 |
| 一時的な高温 | 最高温度、発生頻度、その温度が続く時間 |
| 低温での始動・保管 | 最低温度、衝撃が加わる条件、昇温のサイクル |
| 温度による寸法変化 | 部品の長さ、温度差、継ぎ目、取付部の拘束条件 |
| 持続荷重 | 荷重の大きさ、接触面積、支持方法、荷重が続く時間 |
| 摺動接触 | 速度、面圧、相手材の表面、放熱条件 |
| 洗浄・薬品 | 洗浄温度、使用薬品、濃度、接触時間 |
| 寸法・加工 | 図面公差、基準温度、加工範囲 |
熱が寸法や加工に与える影響
UHMWPE板を使う部品では、温度と機械的な使用条件を併せて検討する必要があります。材料選定と図面確認では、次の点を確認してください。
- 軟化とクリープ:融点に達しなくても、部品の剛性が低下したり、荷重を受け続けることで時間とともに変形するクリープが生じたりすることがあります。
- 高い溶融粘度:UHMWPEの素材は、一般に圧縮成形や専用のラム押出成形で製造されます。他のPE樹脂に用いる通常の射出成形やブロー成形の考え方を、そのままUHMWPE板に当てはめることはできません。
- 支持と拘束:比較的たわみやすい板材には、適切な支持構造が必要です。固定を強くしても、温度による寸法変化を妨げる場合は、必ずしも設計の改善にはつながりません。
- 熱膨張:寸法、穴位置、隙間は、検査時の温度だけでなく、想定する使用温度範囲全体で検討してください。
- 切削加工による熱や残留応力は、平面度や仕上がり寸法に影響することがあります。加工・検査方法を検討できるよう、測定条件と重要な寸法公差を指定してください。
用途ごとの確認事項
- サイロ、ホッパー、シュートのライナー:粉粒体の温度、水分、付着性、排出の流れ方、ライナーの取付方法を検討してください。すべての粉粒体や設備に共通する充填量・滞留時間の基準はありません。
- 耐摩耗板・コンベヤーガイド:摺動速度、面圧、確保できる隙間、局所的な発熱を確認してください。連続して動く箇所では特に重要です。
- 食品に接触する設備・医薬品製造設備:実際に使用するグレードと用途に対応した資料が必要です。温水洗浄や滅菌の適否は別に確認してください。UHMWPEがすべての洗浄サイクルに適しているわけではありません。
- 鉱業・セメントの搬送設備:摩耗、衝撃、支持条件に加え、搬送物の温度も確認してください。耐摩耗性のあるライナーが、必ずしも高温用ライナーとは限りません。
- 船舶・港湾の摺動面や防舷材の表面板:屋外の温度変化、低温下の衝撃、取付方法、必要な材料資料を確認してください。同じグレードがすべての船舶・港湾部品に使えるとは限りません。
設計を見直すべき変化を確認
試運転や使用中の点検では、部品の状態を図面や想定した寸法変化・動作と照らし合わせてください。次のような変化があれば、原因を調べる必要があります。
- 部品の温度上昇後に起こる膨らみ、継ぎ目の閉じ、隙間の減少
- 冷却・再加熱のサイクル後に起こる引っ掛かりや位置ずれ
- ライナーを取り付けたホッパーやシュートでの凍結堆積物、付着、排出不良
- 持続荷重による永久的な圧痕、不均一な摩耗、変形
使用条件と図面をお送りください
UHMWPE板や切削加工部品をご検討の際は、部品の用途と、見積もりに必要な仕様をお知らせください。
使用中の温度条件と図面を当社にお送りください。
連続使用温度と一時的な最高温度、荷重と摺動条件、取付方法を含めていただければ、供給する材料と加工範囲をお問い合わせごとに確認します。
供給範囲と検査条件
- 供給範囲:原板、切断品、図面に基づく加工部品のいずれが必要かをご指定ください。供給可能なグレード、寸法、色、加工内容は、お問い合わせごとに確認します。
- 検査:重要な寸法、公差、平面度の要求、測定温度をお知らせください。ご注文時に検査条件を取り決めるために必要な情報です。
- 梱包:荷扱いや配送上の制約をお知らせください。見積もり時に、保護方法、パレットや梱包箱の仕様、荷印を確認します。
工場に見積もりを依頼する
材料グレード、厚さ、寸法と図面、数量、納品先を、上記の使用条件と併せてお送りください。供給可能な仕様、注文数量、納期を確認し、見積もりをご案内します。